中国の水彩画は、欧州や日本への留学生によりもたらされました。
紙に水溶性の絵具を用いて描くという技法の上からも、中国固有の国画(紙本淡彩)と共通する面があり、その作品には中国の伝統的な筆法も応用されるなどして、西洋の技法を用いつつも、そこには中国的な独自の展開を見る事ができます。
描かれる内容も、建国の熱気あふれる1950年代の作品、そして文革時代の空白期間を経て、桂林・蘇州や長城・西域などの中国の広大ななる自然や風物を描いた作品、あるいは少数民族の生活をモチーフにした作品などには中国ならではのものが見られます。
また、江蘇省美術館は中国でも最も歴史のある美術館で、2000年には全国美術展の一部門として現代水彩画展が開催され現代を代表する作品が収蔵されました。
本展ではこうした多様な作品の中から、日本大学で学んだ陽太陽や余鐘志、ヨーロッパに学んだ呉冠中、李剣晨などの作品を含む100点を選んで陳列し、20世紀における中国水彩画の概要を紹介したく考えます。