外観や身なりなどを美しく飾りととのえる「装い」が今回のテーマです。その方法はさまざまですが、江戸時代、装身行為の一つである化粧は、歌舞伎や浮世絵、版本などを主な媒体として流行しました。たとえば『都風俗化粧伝』は、百年以上にわたって女性に愛読されたロングセラーです。内容は、顔や手足・髪の手入れ、眉や目などの化粧、帯の結び方、歩き方、紅・白粉などの化粧品の製法から、なで肩にみせる方法にまで及んでいます。身だしなみのすべてを含む意味が「化粧(けわい)」に込められていたのです。展示では、『当世化粧容顔美艶考』『化粧眉作口伝』をはじめとする多様な「装い」の世界をご覧ください。