ジャンルを超え,すべての被写体をその究極まで美しく捉え,世界のセレブティに最も愛されたひとりの写真家,ハーブ・リッツ。その写真は,まるで神のように,あるいは女神のように,数多くの被写体をどのポートレートよりも美しく印象的に記憶させます。
1978年,当時無名だったリチャード・ギアの写真が注目され,衝撃のプロデビューを果たした一躍人気写真家に。以降,希代の観察力と美意識で,80年代,90年代のアメリカという国そのものを描いたと言っても過言ではないほど,極めてアメリカ的なバイタリティで流行と名声を駆け抜けた写真家です。
『VOGUE』『VANITY FAIR』『GO』『Interview』『Rolling Stone』そして『TIME』などの一流雑誌のカバーを毎月のように飾り,強いインパクトを放ちファッション・ページを席巻。仕事と同時にプライベートなポートフォリオの制作にも精力的に取り組み,数々のクオリティの高い写真集を出版。
1996年,ボストン美術館の回顧展には25万人を動員。ファッション,アート,映画,音楽など幅広いジャンルの写真を手がけ,時代巧みに捉えながら,アメリカの栄光を表現した写真家でもあります。
2002年12月26日,ロサンゼルスでの突然の悲報。享年50歳。まさにMr.アメリカンフォトグラファーだった彼の死は,アメリカ全土を深い悲しみに包まれました.本展は代表作品110点が一堂に並ぶ畢生の回顧展として,世界に先駆けて展覧されるものです。