日本美術院は、岡倉天心によって1898(明治31)年に設立された在野の日本美術団体です。東京美術学校を追われた天心は、新時代にふさわしい日本画を創造するという理想のもと、寺崎広業、横山大観、菱田春草ら近代日本画の旗手を育成しました。やがて彼らは西洋の遠近法や陰影を研究し、「朦朧体」と揶揄された描法も用いながら、日本画の革新を模索します。さらに、天心亡き後の再興日本美術院では、今村紫紅や前田青邨、速水御舟ら次世代の画家たちが、伝統と革新のせめぎあいの中で、独自の画風を様々に展開してゆきます。
本展では、現在長期休館中の横浜美術館のコレクションから、日本美術院に所属した21作家48作品を厳選しました。明治から昭和に至るまで、日本美術院が近代日本画壇にもたらした精華を、この機会にぜひご堪能ください。