美術作家 平川渚は、地域に滞在しながら土地の記憶や人々の営みを手がかりに糸を空間に拡張させる作品を制作してきました。また近年は、人々から集めた古着や編み物を素材にそれらが持つ「個々の物語」に着目した作品も発表しています。
本展は、鹿児島県湧水町を舞台に2021年から展開している「『手編みの物語をあつめる』プロジェクト」の最終章として、湧水町民から集めた手編みの編み物とエピソードを媒介に、様々な人と関わりながら一人ひとりのかけがえのない物語に寄り添ってきた平川による、新作を含む作品を展観します。
自分ではない誰かの、日常から生まれたそれぞれの情景に思いを馳せることで、境遇の違いを越えた普遍的な物語を体感するものとなるでしょう。