1918年東京市麹町区に生まれ、1940年女子美術専門学校(現・女子美術大学)師範科日本画部を卒業した堀文子は、在学中に新美術人協会第二回展に初入選を果たしました。女性が学問を志したり自立する自由がない時代、何人にも支配されない真の自由を求めて画家の道を志し、1952年に第二回上村松園を受賞。創造美術協会、新制作協会そして創画会(1974年結成)で積極的に活動しました。70歳の時にイタリアのアレッツォにアトリエを構えて制作活動をしたこともあり、1992年にアレッツォ市の招聘を受け、同市で「堀文子日本画展」を開催して高く評価されました。
海外への旅、1999年創画会を退会など、様々な状況の中で堀の画風は、その時々をどのように生きていたかで変わっていきましたが、この世に生あるものを温かく、かつ静かに見つめるまなざしは変わることはありません。その美しさは、観る者の心をやさしく包み込み、みるみるその世界に引き込んでゆくのです。
本展では、60年以上にわたる堀の画業振り返り、初期の作品から、現在までを、年代を追って展観していきます。未発表の作品とスケッチも合わせ、多くの女性に愛されつづける堀の芸術を紹介します。