出羽三山の主峰・月山と庄内平野の田園風景を眼前にして作陶する中村秀和氏。
山形県鶴岡市に生まれ、陶芸家・荒田耕治氏に師事した後、郷里に工房を構えています。日本伝統工芸展や日本陶芸美術協会選抜展などに出品し、多数受賞歴のある、今後ますます活躍が期待される陶芸家です。様々な釉薬を研究する中村氏の代表作は青瓷。一般的な磁器の青磁ではなく、赤土に青磁釉を施した「青瓷」に20数年取り組んでおられます。凛とした佇まいに、独特の柔らかさと温もりが感じられ、繊細で美しい貫入は最大の見どころです。何層にも重なるような立体的な貫入は、作品に無限の奥行を与え、観る者を作品の深部へと引き込みます。本展では、青瓷の花器や大皿、鉢などを中心に、近年力を入れている黄玉瓷の作品も併せてご紹介します。長年の研究により計算された技巧と、炎という自然がもつ大きな力が融合した芸術をご堪能下さい。