この度開館七周年を迎えた当館では、特別展『花逍遥』―花鳥風月に遊ぶ―を開催いたします。
古来より四季に恵まれ、自然に溶け込み、花鳥風月を友としてきた我々日本人にとって、「花」は生活の中に必要欠くべからざるものであり、「花」を愛で花鳥風月に遊ぶのは自然な事でありました。その日本画の中に描かれた「花」や四季の移ろいは、自ずと西洋絵画とは一線を画し、且つ西洋美術にも影響を与え、日本画独自の世界を映し出しております。本展は、先人達の繊細な感性と自然観を見事に捉えた「花」、そして四季の情景を描いた名品の数々を一堂に展観致します。
清楚さの中に気品が感じられる大観「白梅」、新春の情景を華やかに描いた青邨「紅白梅」、ほのぼのとした雰囲気の郷倉和子「梅林の語らふ」等、巨匠それぞれの多様な梅の描き方をお楽しみ下さい。
日本古来の「桜」である山桜を格調高く描いた御舟「春の山」、清方の代表作「道成寺」・初公開「鷺娘」は、双幅により優美と凄艶の対照的な美しさを一層際立たせています。又、華やかさと凛とした気品で「百花の王」と謳われた牡丹を描いた杉山寧「牡丹」、金泥をぼかした背景に大輪の白牡丹を描いた青邨「牡丹」等もご覧頂きます。
工芸は、アール・ヌーヴォーの中心的役割を果し「ジャポニスムの先導者」と言われたエミール・ガレの没後100年にあたる今春、涼やかな草花模様を配し自然への愛着に溢れた「エナメルガラス花器」等も併せて展示致します。
春爛漫の鎌倉で、日本文化を再認識していただき、名品による『花逍遥』をご堪能下さい。