「悲しいとき、嬉しいとき、苦しいときも、私は身のまわりに猛烈に色を塗りこめる。」
岡本太郎『岡本太郎の眼』(朝日新聞社、1966年)
岡本太郎の作品からは、じつにさまざまな感情があふれだしています。絵画にとどまらず、壁画や彫刻、家具や日用品といったプロダクトデザインに至るまで、まるで太郎さんの感情そのものが創作の源泉になっているようです。作品の前に立つと、不思議な表情に笑ってしまったり、びっくりさせられたり、激しい色彩に気持ちを揺さぶられたり、見ているこちら側もいろんな感情を呼び起されてきませんか?
本展では、ユーモラスな表情が来館者からも人気の《坐ることを拒否する椅子》約20点を一堂に展示いたします。また展示の一部は、あえて作品名を付けていませんので、タイトルに縛られず、ぜひイマジネーションを膨らませてみてください。小さな子どものように、にこにこ笑いながら作品とにらめっこをしたり、眉間にしわを寄せながら恐る恐る作品に立ち向かったり……。「見ることは、創ること」という太郎さんの言葉どおり、作品を通して岡本太郎の心の中を感じ、見る側の心が動く瞬間も楽しんでいただけたら幸いです。