山口県三隅町に生まれた香月泰男は、1938年下関高等女学校にて教鞭をとりながら文展で特選をとるなど、画壇での足場を確立し本格的に画家として歩み出しますが、まもなく召集を受け、終戦後もシベリア抑留を体験します。戦後は「シベリア・シリーズ」をライフワークとしますが、一方で身近な風景や生物などを主要なモティーフとした作品も多く手掛けており、香月の表現世界は、特殊な極限体験(抑留)と日常的生活(身近な風景等)との重なりによって築かれているといえるでしょう。
2021年で生誕110年を迎えることを記念して、香月の表現世界を、下関市立美術館所蔵品にて紹介します。