宮崎県出身の画家、瑛九(1911~1960)の生誕110年を記念し、生涯をかけて挑んだ「表現すること」への飽くなき探求の軌跡を、多彩な作品や膨大な資料とともに紹介します。
瑛九にとって芸術は、精神をゆり動かすような感動を表現することを除いては存在しないものでした。瑛九が求めた“表現”とは、単なる技法の問題ではなく、美への憧憬をどのように表すのかということであり、生涯をかけて解き明かすべきものでした。
瑛九は、シュルレアリスムやキュビスム、印象派などに刺激を受け、国内外の文学や思想にも通じ、それらを咀嚼し解釈した上で、より自分らしい表現を求めて制作を続けました。油彩のみにこだわらず、写真や版画など多分野に取り組んで実験的制作を繰り返しました。西洋絵画の影響を色濃く残す作品や、晩年の点描による抽象表現の作品など、その作風は多岐にわたり、めまぐるしく変貌を遂げています。
本展覧会は、宮崎県立美術館の開館を記念した「魂の叙情詩 瑛九展」(1996)、「生誕100年記念瑛九展」(2011)に続き、当館が現在に至るまでに収集・調査してきた“瑛九”の全貌を凝縮して紹介するものでもあります。当館が誇る約1,000点の瑛九コレクションから選りすぐった、油彩画やフォト・デッサンなど約200点の作品に加え、特別展示として個人が所蔵する作品も紹介します。ぜひご堪能ください。