今から120年前の明治34年(1901)、23歳の鏑木清方をはじめとする若者たちにより、小さな美術団体「烏合(うごう)会」が結成されました。その名のとおり、浮世絵や挿絵の画家たちのほか、大和絵や四条派を学んだ者、趣味として絵画を楽しむ者ら多彩な顔触れが集い、競い合い、磨き合いながら、明治という新しい時代にふさわしい日本画を創り出そうとする会でした。
定期的に開かれる展覧会は、「小説」「怪異」「花」などの課題が出され、それに応え会員たちが腕をふるいました。当時、挿絵画家として活躍していた清方にとり、烏合会での活動は日本画家へと軸足を移すため研鑽をつむ大切な場所でした。烏合会へ出品した作品には、《一葉女史の墓》など清方芸術の源流ともいうべき作品も含まれています。
本特別展では、烏合会結成120年を記念し、若き日の清方の作品を中心に、会員の鰭崎英朋(ひれざきえいほう)や池田輝方(いけだてるかた)、池田蕉園(いけだしょうえん)らの作品もご紹介し、新たな時代の日本画創出を目指した若者たちの足跡をたどります。