文字や図形を並べた概念的な作品で知られる荒川修作は、1936(昭和11)年、名古屋に生まれました、武蔵野美術学校で学んだ後、1958年から61年の読売アンデパンダン展に出品、また1960年には篠原有司男らとネオ・ダダ・オルガナイザーズを結成しています。1961年にニューヨークに渡り、翌62年に生活を共にすることとなる詩人のマドリン・ギンズと出会い、共同制作を開始しました。1970年にはヴェネチア・ビエンナーレに、77年にはカッセルのドクメンタに出品するなど、コンセプチュアル・アートの先駆者として、日本のみならず国際的にも評価されています。北九州市立美術館は多くの版画を収蔵していますが、荒川修作の版画は、60年代半ばから80年代半ばに制作されたものまで、70点を越す充実したコレクションとなっています。これらの作品は概念的ではありますが、同時にマチエールや色彩の瑞々しさが印象的です。今回の展示では荒川修作の版画シリーズから「実際には:盲目の意志」シリーズなど、選りすぐった約20点をご覧いただきます。