日本最後の文人と呼ばれ、近代日本を代表する文人画家である富岡鉄斎(とみおかてっさい)(1836~1924)は、89年に及ぶ生涯の大半を京都で過ごし、豊かな学識と古への敬慕のもと、多彩な書画作品を生み出しました。文人画の源流である中国の文人画家達がそうであったように、鉄斎もほぼ独学で、過去の画家達に敬意を払いながら、ダイナミックな筆と奔放な色づかいによって、これまでにない新たな文人画様式を大成させました。
一方、明治以降の日本では、西洋からもたらされた洋画の技法などに刺激を受けつつ、横山大観(よこやまたいかん)(1868~1958)や菱田春草(ひしだしゅんそう)(1874~1911)といった画家達が、日本ならではの絵画表現を懸命に模索し、新しい日本画を成立させました。鉄斎もこうした動向に無関係ではなく、京都市美術学校(現・京都市立芸術大学)で教鞭をとるなど、次代を担う画家達の育成に少なからず貢献しました。
本展観では、富岡鉄斎の作品とともに、明治から昭和にかけての日本画家達の作品を展示します。激動の時代を駆け抜けた画家達の多彩な作品をお楽しみください。 (担当 都甲さやか)