数ある美術作品の中でも、とりわけ日本画の美しさには、どこかやさしさが感じられます。「やさしい」という言葉には、落ち着いた細やかな柔和さ、つつましい奥ゆかしさ、などが含まれますが、作品と向き合う中で“なぜ”そのように感じられるのかを意識する機会は案外少ないのかも知れません。本展覧会では、5つの視点(いつ、どこで、誰が、何を、どのように)をヒントにして、“なぜ”を紐解きながら日本画作品の魅力を探ります。季節の草花や、心温まる風景、穏やかな色使いや、荘厳な精神性、或いは哀愁を感じる面持ちなど、画面の隅々に潜むやさしさの一端に触れながら、改めてじっくり作品を見つめ、味わってみてはいかがでしょうか。