丑(牛)は、日本人にとって幅広い年齢層に人気があるもっとも馴染みの深い動物の一つでしょう。人類とのつき合いは古く、犬をはじめてとして一万年近く前から山羊(やぎ)・羊・豚に次いで家畜化されました。日本には古墳時代になり伝来しました。牛耕や運搬などが本格化した平安時代には神の使者や乗り物としても表現され、天満宮に代表されるように神仏とも結びついて、庶民の間にも信仰が拡がります。中世以降は、日々の営みに寄り添う農村風景の一部ともなりました。
紀元前後の牛形陶俑は中国漢代の副葬品で、富の所有を象徴しています。五~六世紀に造られた牛形埴輪は独特な体躯や角がリアルに表現され、日本最初の牛の姿を伝えています。また、韓国十二支の丑像は古代東アジアの信仰から生まれた造形です。
ほかにも、愛らしい描写・造形の作品から野性味あふれた迫力ある作品まで、バラエティに富んだ作品を展示していますので、さまざまな「牛」たちと新春の一時を過ごして頂ければ幸いです。