家事、育児、仕事と休むことなく働き続けてきたスマ。《原爆の図》で知られる画家、丸木位里の母です。
70歳を過ぎて初めて絵筆をとると、天真爛漫な絵を次々に描き始めます。
その作風は画壇に驚きをもたらし、女流画家協会展や院展で入選を重ねました。
本展では、スマが画家として生きた9年間の作品を年代順に紹介します。自分でも「おかしかろうがの」と笑い、家族たちを楽しませた初期のスケッチから、独特の感覚で世界を表現し、構成した作品へと、その変遷をたどります。
絵を描くことに魅せられたスマは、「こりゃ、まだまだ死なりゃせん思うて。わしゃ、今が花よ」と言いました。
そんなスマの姿からは、いつでも新たに芽吹くことができる人間の可能性と、生きることのすばらしさが伝わってきます。
スマが愛し、謳歌したその絵の世界をお楽しみください。