四季を通じて青緑を保ち、真っ直ぐに育つ竹は、清らかさや繁栄の象徴と考えられてきました。特に中国では、寒中でも緑を保つ松や、花を咲かせる梅とともに、高潔さの象徴である「歳寒三友(さいかんさんゆう)」の一つとして愛されました。日本では、榊などとともに神事で用いられる一方で、『竹取物語』をはじめとする文学作品にも登場します。高い強度と柔軟性をあわせ持ち、環境によって色・姿を変える竹は、古くから現代にいたるまで、生活のなかの様々な工芸品に用いられ、しばしば絵画や工芸品のモチーフにもなっています。日本人にとって最も身近な植物の一つと言えるでしょう。
本展では、竹にまつわるさまざまな作品から、竹とともに育まれた日本の美意識を探ります。