17世紀後半の有田において、主に輸出向け製品としてつくられた柿右衛門様式とよばれる磁器は、丁寧に成形された姿と、乳白色の素地、余白をとりながら愛らしく生き生きと描かれた動植物などの色絵による図様を特徴とします。中国磁器の影響を受けながら日本独自の洗練さを極めていった柿右衛門は、ヨーロッパの王侯貴族に愛され、宮殿などに飾られました。
本展で紹介する「Yumeuzurasコレクション」は、ヨーロッパの宮殿などで所蔵される大型の柿右衛門とは異なり、掌のなかで愛玩することができる小さな作品を中心として構成されています。長年にわたって柿右衛門を収集し、同コレクションを形成した関西在住のコレクターの眼は、動物や子供たちが表情豊かに描かれている「カワイイ」柿右衛門に向けられてきました。同コレクションから選りすぐった「Yumeuzurasセレクション」約54点による、柿右衛門の魅力をお楽しみください。(前期・後期で一部作品の展示替えを行います)