京都国立博物館の敷地内に併設されている文化財保存修理所は、指定文化財を安全に修理することを目的とし、一九八〇年七月に設置されました。公営修復施設としては日本で初めてのものであり、二〇二〇年に開所四十周年を迎えました。これを記念し、近年修復された文化財のなかでも、特に注目される作品を厳選して展示いたします。
日本の文化財は大半が脆弱な有機物を素材としており、約一○○年に一度は定期的な修理を行わなければなりません。異なる素材を複合させながら発達した日本の修復技術は、古い作品を大切にし後世へ伝えようとする人々の心と日本の自然が生み出した、人文遺産そのものです。
この特別企画では、世代を超えて受け継がれてきた文化財を、文化財修理という切り口からご紹介いたします。