齊藤勝美は、板谷波山が完成させた釉下彩技法「彩磁」において、現在最も高い到達点に至っている作家のひとりです。昭和33年(1958)、栃木県河内郡河内町(現宇都宮市)に生まれ、同52年に栃木県窯業指導所伝習科を卒業、同56年自宅に開窯し2021年1月で40年となります。近代陶芸の最高峰・板谷波山(1872~1963)の彩磁に憧れて独学で追求し、他に類を見ない多彩な色表現を達成しています。また緻密な彫刻表現により鳥たちや季節の花々に豊かな生命感を吹き込んでいます。
その表現力、技術の高さから、映画『HAZAN』(五十嵐匠監督、平成15年)に参加し、俳優への技術指導を行ったほか、劇中で使用され、割られる「波山作品」の制作も担当しました。
近年は従来の緻密さに加え一層の抒情性をそなえた彩磁作品、また彫文白磁に取り組み新境地を見せています。当館では、初期から近年に至る齊藤の主要作品を収蔵しています。
本展覧会は、齊藤の作品を通観する初めての機会となります。卓越した技術に支えられた息をのむような美しさをぜひご堪能ください。