木を彫ることでしか生まれてこないもの、紙に刷ることでより浮かび上がるもの。手を動かしながら目の前にあらわれるイメージとその都度向き合って、そしてまた、彷徨いながら目を凝らして。その時々の現在地を積み重ねながら、これからもなかなか言葉にならない何かを、自分のたどり着きたかった場所を、ずっと探してゆくのだと思います。
松谷博子
見崎彰広
見ることはできても、誰も触れることのできないもの。
私がリトグラフで描きたいものは、光と影が作り出す形や、記憶の中あるいは想像上の風景など、手に入れることの叶わないイメージです。
リトグラフの持ち味である感触のない映像的な見た目は、このどうにもならないような憧れを表すのにふさわしいと考えています。
若木くるみ
2020年は、密を避け、離れていなくてはならない一年でした。
この特異ないまを記録するつもりで、浮世絵を題材とした「浮世離れ絵」シリーズをつくりました。
浮世がかつての活気を取り戻して、これらの作品が何を表しているのかわからなくなる日が早く来ますように。