人は社会の中で生まれ育ち、社会を構成する多くの、そしてさまざまな人たちと関わりながら生きています。けっして一人では生きられない。他者とともに生きる。それが人間という存在ともいえるでしょう。だからこそ、自らをとりまく人々に大きな関心を持ち、それらを表現することは、美術の大きな主題となってきました。なかでも、ひとつの画面に何人もの人々を収めて描く群像表現では、人物の配置やポーズ、喜怒哀楽の表情や情感などに、確かな構成力や描写力が示されます。そこにあつまり、居ならび、ひしめきあう人間たちの姿からは、さまざまに織りなされた人生の流転が伝わってくるかもしれません。そんな多彩なドラマを秘めた群像の数々を紹介します。