四代岡山藩主池田宗政(1727~64)は、幼い頃から画を能くし、書や和歌に優れたほか、聡明で仁徳のある藩主として知られています。宝暦14年(1764)に病死したため治世はわずか12年でしたが、宝暦2年(1752)に父継政の跡を継いでからは、初代岡山藩主の光政が開学した藩学校や閑谷学校の運営を継続し、岡山の地に根ざした池田家の偉業を継承しています。さらに二代藩主綱政の命で造営された御後園(現、岡山後楽園)の庭園や菜園の管理に努めるなど、大名庭園としての景観も守り伝えています。また藩政に尽力する一方で、書や和歌、画業にも励んでおり、学ぶことに対して実直に向き合ってきた宗政の姿勢を感じる資料が多数伝わっています。
本展では、まず、池田家の祖や歴代藩主の画像を描いた「縄武像」、曾祖父の光政、祖父綱政、父継政に関係する資料や宗政が書いた系図など、池田家の歴史を辿る資料をご紹介します。そして、宗政が取り組んだ学びとして、幼少期に習った「いろは」字、7歳の時に描いた鳩図をはじめ、人物や花鳥画、漢詩、和歌など初公開を含む資料をご覧いただきます。あわせて、宗政の正室で、六代筑前福岡藩主黒田継高の長女藤子(宝源院)自作の能楽資料や宗政の嫡男で五代藩主治政に関する資料など、それぞれの学びや多彩な嗜みについて展観いたします。
さらに、岡山後楽園延養亭復元60周年記念事業として、江戸時代に藩主の居間として使われていた延養亭で、当館所蔵の実物資料をもとに再現した「脇息」と「茵(しとね)」(敷物)が公開されております。これに伴い、当館では再現の際に参考とした池田家伝来の「脇息」と「茵」のほか、藩主の生活を伝える手回りの道具を展示いたします。
本展を通じて、祖先の業を敬い、自身の学びを深めてきた宗政の生涯と藩主の日常をご覧いただけましたら幸いです。