岩手県一戸町生まれの金子重正(1912-1982)は、東京の美術学校在学中から才能をみとめられ童画作家として活躍、昭和20年二戸郡福岡町(現二戸市)に疎開した後は、少年・少女向け雑誌で漫画家(本名のほか、ペンネーム/せき・しろ、しのぶいっぺい しのぶみゆき など)として数多くの作品を発表しました。昭和40年頃からは二戸地方の民話や伝説を題材とした油絵や切り絵を手掛けるとともに画塾を開き後進の指導にあたりました。
当館では2009年に「マンガ百花繚乱 いわての漫画家50の表現」を萬鉄五郎記念美術館と共同開催し、岩手にゆかりある漫画家の活動を紹介しました。残念ながら展覧会開催時は調査が至らず、金子重正氏の活動を紹介することができませんでしたが、金子氏の漫画家としての活躍は、本県の漫画家として最も早い例ではないかと考えられます。この展覧会では、金子重正著作本、絵画、切り絵等を紹介します。本展を通じ、金子重正の世界を多くの方にお伝えできれば幸いです。