風をはらみ、さやぐ樹々。その足元に揺れる影と木洩れ日――秋岡美帆(あきおか みほ1952-2018 神戸市出身)は、風、光、樹々が見せる一瞬の表情をカメラでとらえ、撮影したフィルムをNECO(New Enlarging Color Operation 拡大作画機)で麻紙やキャンバスに拡大プリントした作品を1979年より発表してきました。90年代半ばから三重県内に居を構えて制作を続けるかたわら、大学で教鞭をとり、次世代の育成にも力を注いできました。
三重県立美術館では、2002年に三重県ゆかりの作家として県民ギャラリーで「秋岡美帆展」を開催、作品を収蔵し、以降はコレクション展などでたびたび紹介してきました。惜しくも2018年3月に逝去しましたが、その後、作家遺族より作品の寄贈を受け、当館のコレクションは現在では制作初期から2000年代までの秋岡の作風の変遷をたどることができるものとなりました。
このたびの特集展示では、3月に三回忌を迎える秋岡美帆を偲んで、寄贈作品を含めた当館のコレクションを一挙に公開し、その画業を振り返ります。