タイトル等
記憶の珍味 諏訪綾子展
会場
資生堂ギャラリー
会期
2020-01-18~2020-09-26
2020年1月18日(土)~2月29日(日)
/8月25日(火)~9月26日(土)
会期変更
休催日
毎週月曜休
(月曜日が祝日にあたる場合も休館)
開催時間
11:00~19:00
平日 11:00~19:00 日曜・祝日 11:00~18:00
観覧料
入場無料
事前予約制
主催者
株式会社 資生堂
協賛・協力等
展示協力:諏訪綾子 フードクリエイション
協賛:日本フィルメニッヒ株式会社
協力:株式会社ジェムインターナショナル、株式会社ケイズデザインラボ、新東Vセラックス株式会社、株式会社Sisii、アートアンドプログラム株式会社(インタラクションデザイン)、株式会社ラダ・プロダクション(サウンドデザイン)/Epo Labo、株式会社リトル・トリー、一般社団法人 養老の森、宮原夢画、ArtSticker (株式会社The Chain Museum)
概要
資生堂ギャラリーは、中断していた「記憶の珍味 諏訪綾子展」を、withコロナ/afterコロナの新たな時代に向けて更新し再開します。諏訪は2月末に創作の拠点を山梨の森林地帯へ移転しました。自然のなかに身を置き生活することで、多くの出会いや新たな気づきがあったといいます。本展では、諏訪の森での生活を反映させ、前回のテーマでもあった「自然とかかわること、自然をあじわうこと」を、深化させることを試みます。本展が、「自然からのインスピレーション」を体験する機会となりましたら幸いです。

なお、本展では新型コロナウィルス感染防止の観点から、入場者数を事前予約 (IE以外のブラウザでご確認ください)により制限し、展示物に触れたりスタッフとの接触をなるべくなくすよう鑑賞方法を改変しています。

資生堂ギャラリーでは、2020年1月18日(土)から3月22日(日)まで、諏訪綾子の個展『記憶の珍味』を開催します。諏訪綾子は、本能的な無意識の感覚に訴えることのできる表現媒体として「食」を扱い、体験者に新たな問いや発見をもたらすことを追求する、現在、世界で高い注目を集めるフードアーティストです。
本展で諏訪綾子は、誰もが個人的にもっている記憶をテーマに新たな「食」の表現に取り組みます。諏訪は、記憶を私たちの意識であると同時に無意識でもあり、私という自己そのものと捉えます。展覧会を通じて記憶を美しくかけがえのない珍味として「あじわう」ことで、「わたし」自身をあじわう体験の創出に挑戦します。また、本展で諏訪が表現する「食」の体験は、自然の美しさや儚さを感じ、それを和歌に詠み、香を聞き、茶を点てるという遥か昔から日本人が行ってきた他者との「感覚の共有」であり、同時に日本人の美意識や精神性を育んできた「自然からのインスピレーション」を受け取って自らの感覚を研ぎ澄ませるという体験でもあります。
[会場内での試み]
展示会場には、諏訪が様々な香りから調合した数種類の「記憶の珍味」を来場者が実際にあじわうことで、自身の記憶を呼び起こす体験の場が設けられます。また、自然の中から生じた有機的なかたちをともなった「記憶」をあじわうための幾つものツールがインスタレーションとして展示されます。
会期中には、不定期に、ギャラリー内で、諏訪自身が自らの記憶をゲストとともにあじわい、その感覚を共有する参加型のパフォーマンスを実施する予定です。諏訪自身がその場でもてなす生の「記憶の珍味」をあじわうことは、ゲストにとってそれぞれの個人的記憶を共有することができるようなリチュアルでドラマティックな体験を生み出します。
[来場者の経験]
現代の文明社会に生きる私たちにとって、自然に寄り添い感じ取られる感覚を他者とともに共有することは、もはや貴重な経験となったのではないでしょうか。本展で、来場者はあじわいを通じ自らの記憶を他者と共有することによって次第に開かれていくコミュニケーションを経験するとともに、「自然からのインスピレーション」を体感することでしょう。そして、それは日本人が受け継いできた繊細な美意識や内面的な精神性という捉えがたい感覚を他者と共有し、「わたしとは何ものなのか」という問いに想いを馳せる機会となるはずです。

資生堂は日本をオリジンとし、日本人の美意識と精神性に育まれた繊細な美しさを今の時代に更新していくことで、人々の生活をより良いものへとすることを使命としています。本展が紹介する、記憶をあじわうことがもたらす「自然からのインスピレーション」を共有する体験が、私たちの日常の新たな刺激と楽しみのきっかけとなることができれば幸いです。

諏訪綾子からのメッセージ
「記憶の珍味」を資生堂ギャラリーで発表して1ヶ月が経った頃、世界は強制的に止まってしまった。ステイホーム、家に籠り、最低限の外気を吸うのみ。人と会わず、得体の知れない恐怖と増えていく数字を毎日数えていた。2020年2月29日、うるう年のこの日を最後に資生堂ギャラリーは臨時休館となった。

3月になると私は森の中にいた。標高700m、コンビニもスーパーもない山奥でニュースを見ていた。森の中で聞こえてくるパンデミックの混乱は、鳥や虫や動物たちの鳴き声に掻き消されてどこか他人事のようだった。食べられるかもしれないものに満ちたこの森で、食べられてしまう危険とともに、東京での生活で鈍ってしまった私の野生を試してみたいと思った。

森の間伐材でタリスマンをつくる。森に充満するフィトンチッドを集める。フィトンチッドは樹木が発する魔法のような気。動くことができない木々が、外部の刺激から自分自身を守るために揮発させる、殺菌力を持った防御成分であり、森を浄化する力。わたしたち人間もそのおすそわけをもらって、抗菌、抗酸化、リラックス… 免疫力をあげることができる。森はそんな野生の気が満ちていて、そのみずみずしい気を集めては、しばらく会えていない友人たちへ、私は森から'魔除け'を送り続けた。

あれから半年ものあいだ、誰もいなくなった銀座の、あの地下空間で「記憶の珍味」はあじわう人を待っていた。それはまさに、忘れ去られて人知れず熟成していく、脳の奥底の「珍味」のようだった。私自身も忘れかけていた。世界があまりにもドラマティックで、その変容を受け止めたかった。なによりも生きものとして進化したかった。

もう、だれかと内的な感覚を共有したり、どこかの美しい密室に入ったり、なにか得体の知れないものを手掴みで食べる、ということはできない世界になってしまったのだろうか。

濃厚接触が禁じられた世界で、想像力ばかりが濃厚に掻きたてられる。おかげでわたしたちは、今までにないほどに想像力を手に入れて、あらゆるものをあじわうことができるようになった。

8月、人が戻ってきた銀座で、蒸れたマスクの内側に森が広がっていく。脳に宿る森が、咳をするたびに溢れ出る。わたしたちの奥底に沈めていた自然をあじわうなら今。

自然との関係性において、人間の側が、自然に合わせて変容する進化というのもあり得たのではないだろうか。

いつの日か最後の晩餐には「記憶の珍味」をあじわいたい。

それは、意識であり、無意識であり、わたしそのもの。あじわうほどにあじわい深く、噛みしめるほどにうまみを増す。

美しい記憶の珍味は、あなたの中にある。

諏訪綾子
イベント情報
■関連企画 1
ギャラリートーク
諏訪綾子と脳科学者、中野信子氏による対談を行います。
日時:2020年1月23日(木) 19:30-21:00
会場:WORDホール(東京銀座資生堂ビル 9階)
定員 60名
参加費無料(お申し込み多数の場合は抽選となります)
お申込みは、2020年1月17日(金)より、資生堂ギャラリーウェブサイトにてご案内予定です。
お問い合わせ:資生堂ギャラリー tel.03-3572-3901 fax.03-3572-3951

■関連企画 2
ゲリラレストラン
会期中に資生堂ギャラリーの付近で出現を予定。(中止)

■関連企画 3
「記憶の珍味 諏訪綾子展」とレストラン ファロが香りの饗宴
期間限定で展覧会の世界観を体験できるコラボレーションメニューがコースの一部に登場します。 展覧会ではできなくなった「食べてあじわう」体験をFAROにてお楽しみいただけましたら幸いです。
場所:レストラン ファロ
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル10階 TEL0120-862-150
期間:2020/9/11(金)~9/26(土)
時間:18:00~22:00 (L.O/19:30)
対象:上記期間中、ディナーコースGASTRONOMY(¥15,000)をご注文のお客様
https://faro.shiseido.co.jp/

レストラン ファロのご予約はこちら
https://parlour.shiseido.co.jp/ap/reservation/faro/ja/top?sid=69213&mid=00017

*2020/8/16(日)~8/24(土)までは夏季休業とさせていただきます。
ホームページ
https://www.shiseidogroup.jp/gallery/exhibition/index.html
会場住所
〒104-0061
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
交通案内
地下鉄銀座駅 A2出口から徒歩4分
地下鉄新橋駅 1番出口から徒歩4分
JR新橋駅 銀座口から徒歩5分
ホームページ
https://gallery.shiseido.com/jp/
東京都中央区銀座8-8-3 東京銀座資生堂ビル地下1階
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