合田佐和子は、約40年の作家活動において、美術の潮流やパラダイムとはほとんど関わりなく、ひたすら求めるものを独力で探してきた作家です。廃品とビーズを編み上げた不思議なオブジェ、女優のブロマイドを写した妖しい油彩画を発表してきた後、近年は非物質的な彼岸の世界、精神世界を探求するに至っています。詩人・瀧口修造、高橋陸郎、演劇人・唐十郎、寺山修司ら多彩な人々を魅了してきたことで知られる合田ですが、これまで美術の世界では、異端の作家、イラストレーターのように誤解されていたかもしれません。
本展は、代表作、新作ともに、長く公開されなかった個人蔵作品、未発表を含む写真作品、演劇資料など約150点を展覧し、誰も知らなかった、作家・合田佐和子の全体像にせまろうとする試みです。絵画と写真、物質と光が織りなす合田の世界を「影像」を手がかりに紹介し、皆様に新しい評価を加えていただきたいと祈念します。