写真と絵画を用いた独自な表現手法で知られ、海外にもコレクターが多く注目を集めているアーティスト、城田圭介の国内の美術館における初めての個展を開催します。
城田の制作は、何気なく撮影されたスナップ写真を基点とし、その周囲に拡がっているかのような架空の風景を描き足す絵画作品や、写真上の人物をあたかも消すように人物の部分をその背景描写で埋めた写真作品、そして、写真に写り込んだ人物だけを抽出し、油彩で描いた新作を発表するなど、多様な展開を示します。作品はいずれも写真をもとに制作されており、特筆すべきは、写真に写された風景や絵の具で描かれている人物が、現実的な関係性から切り離され、「何も」そして「誰も」存在していないかのような一貫した静けさをまとっていることです。現在、我々を取り巻く社会において、瞬く間に大量消費される写真。その膨大な情報の波に抗うがごとく、静かに佇み一心に制作する城田の姿勢が特異性をもって浮かび上がります。アーティスト・城田圭介という他者の眼差しを共有することで、見ること、感ずること、考えることを、鑑賞者一人一人が自らに問いかける機会となるでしょう。