中村芳中(?~1819)は、大坂を中心に活動した絵師として知られています。はじめ文人画風の山水画や筆以外の物を使って描く「指頭画(しどうが)」を得意としました。次第に尾形光琳(1658~1716)の画風を意識し、江戸で『光琳画譜』を刊行したほか、「たらし込み」を駆使したおおらかな絵を描きました。
また、俳諧を好み、俳人との交流を通じて俳画や俳書の挿絵も多く手掛けています。本展では、文人画風や琳派風、俳画など芳中のさまざまな作品をご紹介します。近年そのゆるい表現が「かわいい」と評される芳中画のほのぼのした気分を味わってください。