「小樽・美術家の現在」は、これまで個人展として近年活躍の顕著な本市ゆかりの現代美術家をとりあげて紹介してきた。
2019年より視点を新たにエリアを広げ、小樽を中心とした海岸線に沿って、広く「石狩湾」を一望するスケールで作家を選定し、共通テーマを設けた現代作家の群像(グループ展)として再発足する。わたくしたちが今生きている同時代の臨場感をそなえた、現代の美術動向を紹介するものとなる。
その第1回目のテーマは「風土」。小樽を取り巻く自然環境は、この地の風土を構成する重要な要素である。東西に長く伸びた海岸線の美しさは小樽観光の原点といえる。特に祝津から忍路までの地域は、ニセコ積丹小樽海岸国定公園に指定され、古くから知られている。市内各地には、火山由来の凝灰岩の地層が広く分布し、石造建築物の供給源としても重要であった。軟石による建造物が集中する運河周辺は、人々が真っ先にイメージする小樽らしい景観といえるかもしれない。
また別の面での小樽は、北海道のなかでも都市化、近代化がいち早く進んだ街でもある。北海道の玄関口として築かれた港と鉄道は、明治以来の発展の歴史の始まりであり、全国的にも先駆的であったといわれている。
風土が持つ意味は地形や気候に限らず、その土地に住む人々の生活や伝統、気質などさまざまなものを含んでくる。
本展は、港町小樽とその近郊で活躍する現代作家12人の作品により表現された小樽の風土を展覧するものです。