東京国立博物館には、江戸時代の測量家伊能忠敬が製作した実測図(伊能図)が多数所蔵されています。いずれも江戸幕府や大名家に伝わったもので、忠敬の測量技術の高い水準を示すとともに、絵画的な美しさもあわせ持っています。
この展覧会では、ふだん公開の機会が少ないこれらの図と、関連する伊能図を一堂に展示します。特に、日本列島を3枚の図に収める当館所蔵の「小図」は、江戸幕府の昌平坂学問所旧蔵品で、3枚揃った図としては国内で初めて確認されたものです。 また、鎌倉時代から江戸時代に至る日本図や世界図を多数出品し、日本人や外国人がとらえた日本の「かたち」のうつりかわりを紹介します。さらに、国土交通省国土地理院の協力を得て、米国議会図書館で発見された大縮尺図「大図」の複製を、平成館のフロアに展開、その大きさと精度を実感していただきます。
この展覧会を通じて、伊能図の持つスケール感・精細さ・美しさと、国土の姿をとらえようとした先人たちの足跡を実感していただけるものと思います。