津奈木町のアートによるまちづくりは、水俣病からの地域再生を目指し、1984年の「緑と彫刻のあるまちづくり」に始まりました。その活動拠点として2001年に開館したのがつなぎ美術館です。「柳幸典つなぎプロジェクト」は2008年から続く「住民参画型アートプロジェクト」の一環として、2021年のつなぎ美術館開館20周年を記念し、2019年から3年かけて取り組むプロジェクトです。柳幸典は、現代社会がはらむ諸問題にユーモアを交えながらも正面から向き合う作品を発表し続けるアーティストとして、世界から注目されてきました。
一方、近年は瀬戸内海の百島を拠点に、現代アートによるアートツーリズムの実践も試みています。「柳幸典つなぎプロジェクト」の1年目の成果展でもあり、3年間の取り組みのプロローグ(序幕)ともなる本展では、柳のアーティストとしての立ち位置と表現手法の変遷が伝わる過去作品の一部を映像を交えて展示するとともに、津奈木町で重ねたリサーチをもとにしたアイデアをスケッチ等でご紹介します。