1964年の東京オリンピックは国家の一大プロジェクトとして華々しく開催され、その公式ポスターをデザインしたのは新潟出身のデザイナー・亀倉雄策(1915-1997)でした。このオリンピックは、デザイナーたちが総力を結集して取り組んだ一大デザインプロジェクトでもあったと言われています。同年、東京では読売アンデパンダン展が中止され、反芸術の議論が過熱する一方、新潟では全国に先駆けて現代美術館が長岡市に開館するなど、現代美術をめぐる状況は過渡期でした。
本展では、「東京オリンピック」と「長岡現代美術館」を中心に、日本美術のひとつの転換期にあたるこの時代の美術の諸相を、当館の所蔵品を中心に展観します。また、2020年春に取り壊しが決まっている長岡現代美術館(現・長岡商工会議所)の建物および移設される斎藤義重の壁画レリーフは、当時の面影を残す稀有な遺構です。この貴重な建物を記録に残し、その写真を併せて展示します。