高橋コレクションは、精神科医の高橋龍太郎氏が収集する現代アートコレクションです。これまでに日本有数のコレクションとして国内外で多数の展覧会を開催してきました。この度は、高橋龍太郎氏の生まれ故郷であるこの鶴岡で「アートのふるさと」と題し、世界的に活躍するアーティストから、新たにコレクションに加わった若手作家まで、合計31 人による、絵画、彫刻、版画、写真、映像、インスタレーションなど約100 点を展覧します。
展覧会タイトルの「ふるさと」という言葉には、ふたつの意味が込められています。ひとつは高橋龍太郎氏の故郷であるこの地に、アートコレクターである高橋龍太郎氏とコレクションの原点を探ることです。もうひとつは、アートの原点や根源を探ることにあります。
高橋龍太郎氏はアートの原点を考えたときに、「中動態(性)」という言葉にそのヒントがあるのではないかと考えています。能動態でも受動態でもなく、中動態としてアートを位置づけることは、作品に対する意味付けや解釈からの解放を、そして、アートがアーティストの表現でありながら、人々に自由に鑑賞されるものであることを気づかせてくれます。アートは時に主体となり、時に客体になるが故に、中動的な主体と客体を越えた存在として見ることができるのかもしれません。
現代では、さまざまな芸術表現が認められ、アートは広く社会のなかで身近に存在するものとなっています。加えて、身近になっているからこそ、より多くの人々が楽しめるものとして、アートが魅力を増しています。本展覧会では、作家ひとりひとりの自由な作品世界をとおして、現代アートの世界を一望します。