大正から昭和にかけて、印刷技術の進歩により複製技術が発達し、ポスターやチラシなどの広告、絵はがきや本の装幀など、《イマジュリィ》と呼ばれる新たな大衆的なデザインを複製(印刷や版画)することで、誰もが自分のものとして楽しむことができるようになりました。「大正ロマン」と呼ばれる乙女チックで抒情性漂うものや、斬新で洗練された「モダンデザイン」などが街中を彩り、中でも著名画家やデザイナーが手掛けたものは、特に人気を博しました。
本展では、藤島武二や岸田劉生による本の装幀、アール・ヌーヴォー様式の橋口五葉、アール・デコ様式で活躍した杉浦非水や小林かいち、少女趣味の高畠華宵や、抒情性を帯びた美人画も描いた竹久夢二、怪奇的幻想美で異彩を放った橘小夢、古賀春江や恩地幸四郎の都市モダニズムなど、西欧の文化も交じり合った様々なイマジュリィの世界を、500点を超える作品で紹介します。
昭和世代には懐かしく、平成世代には新しいデザインとして目に映り、きっとその魅力に心惹かれることでしょう。会期中は関連イベントやプレゼント企画もありますので、あわせてお楽しみください。