この地球上には私達を含めて多くの生き物が暮らしています。人は生き物たちの美しさや姿に、様々な意味を重ね合わせて絵に描いたり工芸品の意匠として用いたりしてきました。本展では地元岡山の動物園、池田動物園のご協力をいただき、館蔵品の中から"いきもの"をテーマとした展示をいたします。
昔から人と共に暮らしてきたのがウシやウマ、ニワトリなどの生き物です。中国の明時代に描かれた重要文化財「清明上河図」には人々の賑やかな生活の様子と共に、人と一緒に暮らす多くの生き物の姿が描かれています。タヌキやキツネ、ウサギやサル、そして鳥たちも私たちとなじみ深い生き物たちです。4代岡山藩主の池田宗政が7歳の時に描いたハトの絵は愛らしく、8代将軍徳川吉宗が描いたタカの絵は将軍家の権力を象徴しています。子供達に人気のゾウやトラ、ライオンはいつ頃から日本にいたのでしょうか。さらに伝説の生き物である鳳凰(ほうおう)や龍はどんな姿で描かれているのでしょうか。このように私達の生き物への興味は尽きることがありません。
林原美術館の今年の夏の主役は"いきもの"です。じっくりと観察すれば、動かないはずの"いきもの"たちが、生き生きと動き出すかもしれません。子供から大人まで、美術館の中の動物園をごゆっくりとお楽しみください。