平松礼二画伯と湯河原とのご縁は、当館で平成14年に開催した特別展「日本画・革新への潮流ー平松礼二展」がきっかけでした。湯河原は多くの文化人に愛された温泉地で、近代日本画の巨匠・竹内栖鳳や洋画家の安井曾太郎が逗留したことでも知られています。当地にゆかりの深いこの二人の画家が、平松画伯も担当した『文藝春秋』の表紙絵をかつて描いていたという共通点や、画伯が近隣の地域にもよく訪れていたことなどの親近感から、湯河原に足を運ぶ機会が増え関係を深めてきました。
平成18年に町立湯河原美術館に「平松礼二館」がオープンしてからは、美術館だけでなく湯河原の教育、観光にも多くの協力をいただき、平松礼二館10周年を機に、平松画伯は湯河原での画業の集大成として「湯河原十景」を描く構想を立てました。自然豊かな湯河原の風景は、画家の創作意欲を刺激し、「十景」は構想から2年半を経て10点をはるかに超える20点が完成しました。
このたび、平松画伯が愛した湯河原の風景を描いた作品20点全てをお披露目するとともに、第1部では、来館された皆様にも人気投票に参加いただき、この結果を参考に「湯河原十景」を決定し、第2部で発表する展覧会を開催します。