タイトル等
Eri's 2000's
吉原英里の2000年代 [作品集出版記念]
会場
ギャラリーモーニング
会期
2019-06-25~2019-07-07
休催日
(月曜日休廊)
開催時間
12:00~18:00
概要
吉原英里の2000年代

吉原英里の作品を回顧するとき、インターネット時代における人の「不在」と物の存在感の二面性があることに気づく。
吉原は、1983年のデビューから一貫して帽子や椅子、家具、食器など物や室内の情景をモチーフに、不在の人物の気配が漂う銅版画を独自のラミネート技法で制作してきた。ラミネート技法とは、インクが刷られた雁皮紙と洋紙の間に実物の新聞や封筒、印刷物、自作の版画などを挟み込んで刷り上げる技法だ。86年には《M氏の部屋》でインスタレーションを展開し、版画をイメージ領域から空間へと広げていく。2000年にはイタリア・ミラノで個展を開催した後、本格的に油絵を始めた。

2000年代以降を回顧する本展では、油彩と版画を組み合わせたシリーズが中心に展示される。代表的なのは、《画家のノート・セザンヌ1》や《マーク ロスコの椅子》など、過去の画家たちの作品と椅子やオブジェなどが組み合わされた静物画だ。さまざまな画家と物との組み合わせは、ジョルジョ・モランディの瓶や壺を描いた静物画のように絵画と版画のタッチの差異、配置や構図、遠近などさまざまなヴァリエーション(変奏)を見せる室内楽だ。
さらに、吉原は版画の枠を越えて、空間へと拡張する。それが、80年代に試みたインスタレーションに再び取り組んだ《Garden2012-2》である。鳥が描かれたクッションがソファに置かれた光景を複数画面で展開した本作は、他人の部屋を覗き見るように、画面に配置された物から居住者の人物像や室内を想起させる。いずれも、絵画と版画、作品と空間、美術史と個人史、芸術と生活の境界を、交差、往還する作品だ。

これら吉原の異素材を組み合わせた版画は、キュビスムのパピエ・コレ、シュルレアリスムのコラージュなどを独自に展開したものだが、00年代以降のデジタル社会では見え方がさらに多様になる。なぜなら、インターネットの普及によって、人は匿名になり、ウェブサイトやフリマアプリで売買される個人所有のセカンドハンド(中古品)の家具や服、アクセサリー、本の画像を通じて、私有物から他者の趣味嗜好や人物像を判断する機会が増えたからだ。

吉原の絵画空間に描かれた物の所有者とはいったい誰なのか。それは、展示空間にいる鑑賞者のことかもしれない。鑑賞者が吉原の作品に見ているのは、過去の記憶だろうか、あるいは未来の光景だろうか。いつの時代も変わらず、美術は人が見ることで存在する。 平田剛志(美術批評)
ホームページ
https://gallerymorningkyoto.blogspot.com/2019/05/yoshihara-eris-2000s-exhibition-625-77.html
会場住所
〒605-0034
京都府京都市東山区中之町207 三条通り岡崎広道 南西角
交通案内
・地下鉄東西線「東山駅」「蹴上駅」より徒歩5分
・京阪三条駅より15分

京阪電車の場合
○三条駅より徒歩15分。 (地下鉄東西線利用の場合「東山」(もしくは「蹴上」)駅下車)
◎祇園四条駅より市バス46番 (7番の出口。宝くじ売り場の前)で「神宮道」バス停下車

阪急電車の場合 河原町駅より:徒歩20分強。
◎河原町駅より:市バス46番 (高島屋前、四条通を挟んで北側のバス停より) で「神宮道」バス停下車
○烏丸駅より:地下鉄烏丸線「御池駅」経由東西線に乗り替え「東山」(もしくは「蹴上」)駅下車

JRの場合
◎JR京都駅より:地下鉄烏丸線「御池」駅で東西線に乗り替え「東山」(もしくは「蹴上」)駅下車
○市バス5番「神宮道」下車 (時間がかかる場合があります)
◎JR山科駅より:地下鉄東西線「蹴上」駅下車
ホームページ
https://gallerymorningkyoto.com
京都府京都市東山区中之町207 三条通り岡崎広道 南西角
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