もうすぐ平成という時代が終わりを迎え、私たちは今まさに新しい時代を迎えようとしています。
近年、私たちの生活は一層多様化し、「ライフスタイル」という言葉が盛んに取り上げられています。しかし、こうした言葉に戸惑いを覚える人もいるのではないでしょうか。
川上澄生の77年の生涯は、明治、大正、昭和と3つの激動の時代と重なります。澄生は、学校の教員を務めながら、木版を中心に水彩、油彩、ガラス絵、焼絵など合わせて2,000点を超える作品を制作しました。
これだけ精力的に創作へ向き合った理由のひとつとして、本人自身は、常に「驚異と好奇心」の心を持ち続けていたことをあげています。現にその作品は、多岐にわたるテーマやジャンルを超えて、大らかで明るく、喜びに満ちあふれています。川上にとってライフスタイルとは作品を創作する生活に見出すことができます。
本展では、当館が所蔵する作品のなかから、Masterpieces(傑作・名作群)を100点選び、さらに、澄生が影響を与えた初期の棟方志功作品を特別展示します。
今の時代を自分たちはどう生きるべきなのか、川上澄生というひとりの人生を通して、ライフスタイルの手がかりを探してみてはいかがでしょうか。