ギリシャ北部に位置するマケドニアのアレクサンドロス大王は、オリエントの大国アケメネス朝ペルシャ帝国を滅ぼし、エジプトから中央アジアに至るその版図をことごとく征服しました。これはアレクサンドロス大王の東征(前334~前323年)として広く知られる史実です。これを契機として、ギリシャ文明は地中海東岸から中央アジア・インド亜大陸に至る広い範囲に伝播し、在来の文化的伝統と融合したヘレニズム文明の隆盛をもたらしました。本展覧会では、2004年アテネオリンピックの関連文化事業としてギリシャ政府の多大な協力を得、ギリシャ国内の美術館・博物館から多くの貴重な文化財が出品されます。また、大英博物館、ルーヴル美術館、エルミタージュ美術館など世界有数の美術館が所蔵し、世界的に知られる美術作品を一堂に集め、ギリシャ美術の伝播と受容の過程をたどるとともに、その余波が、シルクロードを経てはるか極東の日本にまで到達したことを検証いたします。地中海世界からユーラシアを横断して極東に至る壮大な文明の路を、ダイナミックに展観します。