この展覧会は、見る人に「こんな絵があったのか」と思わせるような、新しい時代を予感させる、新鮮なイメージに満ちた絵画と出会うことのできる展覧会です。また、美術を勉強している人たちや、これから美術を志そうとしている人たちにとっては、他人の真似ではない、他に紛れることのない、独創的あるいは個性的であるということが、どのようなことであるのか知ることのできる展覧会とも言えるでしょう。
6名の出品作家のうち、加藤美佳は自分で作った人形を写真に撮り、コピーで拡大して、絵画に描くという独自のスタイルで、作品を制作しています。また、高橋信行の作品は、構図やシルエットの輪郭、あるいは切り抜かれた図像を組み合わせた新たな風景を生み出し、長谷川純は、ファッション雑誌や看板に現れるような現代的な女性を、明るい色彩によるポップな画面構成で描いています。福井篤は、日常の光景をパステルカラーの柔らかな色面で表現し、シンプルな画面でありながら、奥行きと広がりを併せ持つ現代的な空間のセンスが見て取れます。法貴信也の作品は、下書きをせずに描かれる線が連なるうちに形になるという、自由な線の動きによって作られます。また、渡辺聡の、有名な建築物などの風景にドットをかぶせて描く作品は、現代における新しい風景画の可能性を示しています。
今、私たちの時代は、経済の問題や未知の感染症など困難や試練に直面しているようにも見えます。しかし、そんな不安に満ちた時代にも次の時代を目指して新たな美術の胎動が始まっています。この新しい世紀の初めに、新しい絵画のかたちと巡り合う「絵画新世紀」をお楽しみください。