人間国宝 村山 明(むらやまあきら 1944年生)による木工芸の世界を紹介します。
村山は兵庫県尼崎市に生まれ、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)彫刻科を卒業後、木漆工芸界の巨匠・黒田辰秋(くろだたつあき)に師事しました。以来、木工用の手道具を使って木を刳り、自在にかたちを創り出す刳物(くりもの)と呼ばれる伝統技法を継承し、重要無形文化財「木工芸」の保持者として認定されました。
村山が手掛ける作品は、木地に漆を刷り込む拭漆(ふきうるし)と呼ばれる技法で仕上げられた、艶やかな木肌と美しい木目模様が特徴的で、重厚で優美なそのたたずまいは海外でも高く評価されています。
木と向き合って50年。数百年もの時を重ねて生きてきた木に新しい息吹を与え、過去から現在、そして未来へと活き続ける新しい木を創りだす、これが村山のわざなのです。
尼崎では初の個展となる本展では、約40点の作品を通して、村山の豊かな発想と熟練のわざを存分にお楽しみいただきます。