今展は藤本由紀夫と映像作家の林勇気が「光」をキーワードに各人自在に展開するものである。 藤本が示した「融通無碍(ゆうずうむげ)」という言葉。 フリーセッションとでも解してみようか。 二人は「光」という言葉で符号した。 古今東西の「光」をめぐる藤本とのなにげない会話から林が選んだモチーフは蝋燭の「灯」。 蝋燭の灯とそこから発生する影から映像の事を思考するような作品をつくると言う。 「映る」と「写る」そして「遷る」の間を描くという林の映像インスタレーション、藤本も自らの「光」をギャリー空間にもたらす。 光は重なり合うことで強弱ができ、濃淡をうむが、決して溶け合わない。 各々の光と影は融合も分裂もなく融通無碍にギャラリーの小さな空間を分かち合う。
昨年のKOBE芸術祭にて藤本由紀夫は「ある時間、わずかに差し込む太陽の光との出会い」を作品に試み、(自然の)光が生み出す予測できないもうひとつの鑑賞空間を創出してみせた。 林勇気は2016年の京都芸術センターでの個展「電源を切ると何もみえなくなる事」で電源を意図的に落とすことでより現実的な空間を展覧会という非日常の鑑賞空間に現出させた。
Yuze muge Yuki hayashi x Yukio fujimoto 展は「光」というメディアを通して表現される二人のアーチストの新たなセッションとなるだろう。