堂本印象(どうもといんしょう、1891-1975)は、京都において官展を舞台に活躍し、大正・昭和期の美術界を牽引(けんいん)した日本画家です。図案の仕事に携わりながら京都市立絵画専門学校で学び、28歳で帝展初出品初入選を果たしてデビューすると、瞬く間に画家として頭角を現していきました。京都画壇の重鎮・西山翠嶂(すいしょう)に師事して画塾・青甲社(しょうこうしゃ)に入塾し、風景・宗教・花鳥・風俗など多様な主題に才を見せつつ、官展では審査員を歴任、自身も画塾・東丘社(とうきゅうしゃ)を主宰して絵画研究に努め、寺院の障壁画や皇室献上画といった大事業も手掛けるなど、画壇の中心的な役割を担っていきます。戦後になると、日本画を取り巻く厳しい情勢の中で西洋美術の研究も踏まえた先鋭的な日本画表現を展開し、社会や時代に即した造形的な作品や抽象表現による日本画作品を発表して、止まることなく常に芸術の新たな可能性を追求しました。1961(昭和36)年には文化勲章を受章、1966(昭和41)年には全て自らのデザインによる美術館を開館するなどし、今日につながる芸術分野の振興において実に大きな功績を残しています。
本展では、画業の初期から晩年に至るまでの作品42点により、旺盛な創作活動で20世紀の美術界を常にリードし続けた画家・堂本印象の飽くなき創造への挑戦の過程を振り返ります。また、特別出品として、西山翠嶂画塾・青甲社で共に研鑽(けんさん)を重ね、新しい日本画の創造にも果敢に挑んだ画家・秋野不矩(あきのふく)の作品8点を展示します。