塚本悦雄は、彫刻は自然のものに人の手を加え、自然現象を作為的に作り出すことではないかと仮定し活動しています。青森県弘前市に拠点を置き制作を行う塚本は近年、自然豊かな青森でも、農園の作物には人間による様々な介入が行われていることや、津軽藩の武士により飼育されていたという金魚「津軽錦」が人為的に交配された生き物であることなど、地域の現在や歴史を読み解きながら、自身の彫刻観と重ね合わせ作品を制作してきました。
青森ゆかりのアーティストを紹介する展覧会シリーズ「ヴィジョン・オブ・アオモリ」の17回目となる本展では、作品を作り出す場をファーム(農場)と捉え展示を行います。そこでは自然に介入する人間の、そして芸術家の欲望を俯瞰的に見つめる作家の視点が浮かび上がるでしょう。