日本の近代の宮廷衣装には、平安時代より受け継がれてきた伝統的な装束と、近代化の過程で導入された洋服との二つの系統があります。束帯や十二単(五衣・唐衣・裳)に代表される装束は独特の文様や色調の典雅な服飾であり、一方、洋服は当時のヨーロッパの宮廷服にならったもので、これらは宮廷のさまざまな儀式や行事に応じて着用されました。本展では幕末・明治維新から昭和戦前期までを取り上げ、大正天皇の御祭服、皇族の束帯と十二単、明治天皇の皇后(昭憲皇太后)と秩父宮勢津子妃の大礼服などをはじめとする宮廷服約60点を紹介します。