1937年にイングランドのブラッドフォードに生まれたデイヴィッド・ホックニーは、ブラッドフォードの美術学校、その後ロンドンの王立美術学校に学びました。油彩やアクリル絵の具による平面のほか、写真をコラージュして空間と時間に幅を持たせたような作品を作っています。版画は十代の頃から手がけている技法で、今回出品する「青いギター」のシリーズはエッチングやアクアティントといった銅版の技法で、「水のリトグラフ」のシリーズはその名の通りリトグラフ(石版)で制作されています。ホックニーは60年にテート・ギャラリーで行われたピカソの大回顧展を見て大きな影響を受けていますが、「青いギター」はピカソへのオマージュとなっています。また学生時代からロサンゼルスの開放性に魅せられ、ロスに転居後、その光と水の明るさと透明感をしばしば主題としており、「水のリトグラフ」はそれを版画で表現した代表的な例といえます。二つのシリーズの技法と色彩の違いを楽しんでみてください。