美人画の魅力は、描かれた女性の色香だけではありません。女性が纏う着物やアクセサリー、背景の事物、各時代の世相、風俗がその女性を彩ります。さらに、その仕草・表情などから内面の美しさが表出されます。
本展は、明治から平成に至る作品を取り上げます。まず、浮世絵の伝統を継承した鏑木清方・富岡永洗・梶田半古らの挿絵の世界をご紹介いたします。続いて、竹久夢二の作品を中心に、耽美的で憂愁を含んだ作品群で大正デモクラシーの時代を感じて頂きます。さらに、伝統に根差した流麗な描線と深い色調に特色ある上村松園や、健康的で妖艶な伊東深水らの作品によって近代美人画が完成された時代に注目します。さらに、昭和の末から今日に至るまで、絵画の可能性は既存の枠を超え、新たなる表現を模索してきました。ここでは、倉島重友、青山亘幹、國司華子、岡田眞治らの個性溢れる作品群を取り上げます。
ぜひこの機会に、近代を代表する作家による様々な美人の姿態、描かれた人間の精神の美しさを感じて頂ければ幸甚に存じます。