"絵画、モビール、舞台美術、写真、模型飛行機、凧、木工。北代省三(1921~2001)のたどった軌跡は、戦後日本でも稀に見る型破りなものです。1950年代、前衛運動の盛んな時期に""インターメディア""な活動を行ったグループ「実験工房」。その命名者は評論家、瀧口修造ですが、特に活動の初期にメンバーの中核的な役割を担ったのは、当時すでに新進作家として注目され始めた北代省三でした。もともと高等工業学校機械科出身という異色の経歴を持つ北代は、49年に第一回読売アンデパンダン展で脚光を浴び、バレエ講演の舞台美術などを手がけた後、51年に山口勝弘、武満徹らと実験工房を結成。その後次第に関心を写真へと変え、商業写真の世界に身を転じました。北代の写真には、風船が割れる瞬間を捉えたもの、電子回路を接写で写した極彩色の写真など、実験的な試みが数多く見られます。本展は、絵画やモビールのほか、北代の写真の仕事に初めてスポットをあてるものですが、あわせて彼の「遊び」の世界もご紹介します。北代が生涯抱き続けた「空を浮遊するもの」への憧憬。その結晶とも言える模型飛行機や凧には、自らの手で物を造る歓びの原点が感じられます。遊びと好奇心と実験に満ちた北代省三の世界をどうぞお楽しみください。"